あちこちの地頭に命じて欲しい事を箇条書きにして、師中納言吉田經房に託したご返事が、今日届きました。後白河法皇のお言葉の内容では、細かい事は言い切れて居ないので、権右中弁定長氏の承り書を一緒によこしました。
相模国(神奈川県)大井庄(足柄上郡大井町)の事は、延勝寺の領地です。年貢については、早く寺領管理人に納付するように。
上総国(千葉県)夷隅庄(勝浦市など)については、鳥羽離宮の金剛心院の領地です。年貢については、早く寺領管理人に納付するように。この他にも、年貢を滞納している所は、寺管理者が文書で訴えてきているところです。なので文書を添付します。
三十三間堂蓮華王院の領地、伊豆国(静岡県)狩野庄(伊豆の国市)。同じ領地、常陸国(茨城県)中郡庄(西茨城郡岩瀬町) 以上の二つの荘園の年貢の納付催促を出します。この他の年貢を滞納しているあちこちも寺領管理人が文書で訴えてきているところです。
上総国(千葉県)菅生庄(木更津市菅生)については、前任の摂政〔近衛基通〕の藤原氏の氏の長者の領地です。年貢の催促の手紙を送ります。
下野国(法皇が)お聞きになられました。(栃木県)中泉(下都賀郡壬生町中泉)中村(芳賀郡内)塩谷(塩谷郡塩谷町)、相模国(神奈川県)早河庄(小田原市早川)、以上の三箇所は、菅生と同様に藤原氏の氏の長者の領地です。年貢は、平棟範の所へ送るように命じてくれるだろうなと、先日報告している時に、
八条院の領地は、信濃国(長野県)大井庄(小諸市)、常陸国(茨城県)村田(筑西市村田)田中(土浦市田中)下村庄(常陸大宮市下村田)、同じ常陸の志田庄(稲敷郡美浦村大字信太)、下総国(埼玉県千葉県の一部)下河辺庄(春日部市など)、越後国(新潟県)大面庄(三条市) この事(年貢の納付)を早く命じて聞かせてください。
相模国山内庄(北鎌倉他)、武蔵国大田庄(大宮市他)、駿河国益頭庄(焼津市他)、同じ国大岡牧(沼津市)、同じ国富士神(浅間神社)の領地、以上の荘園や領地の年貢は、前々から書られているのに、その文書をなくしたりしている。平家の天下の時は、勝手な支配をしていた事もあるようです。又、荘園の大きさも良く分からないで、勝手に年貢を増やしたりした事もあるでしょう。そういう詳しい事は、それぞれの荘園管理者が全て知っているものと思われます。詳しく事情をお調べのうえ、きちんと命令をしてください。益頭庄の事も、事情はその辺りと同じだと思われて、一条能保に命じておられます。北條時政が地頭をしていて、他の人の付け入る隙がないと聞いているので、特に申し上げる事は無いでしょう。以上の事を、(御家人達に)ちゃんと考慮して果たすように命令をしてください。
遠江国笠原庄について、斉院のお方に年貢を納付するように、地頭に命令した事は、感心されております。しかし、毎回きちんとしないと聞いておられます。他にも所領はあっても、特に天皇等から譲られた領地は、斉院の(お祈り)ためだけの荘園なのです。良く察していただき命令をしてくれるのがよかろう。
播磨国の梶原平三景時が支配しているあちこちの荘園の事について、訴えの手紙のとおりに始末するようにさせてください。梶原平三景時は、君(後白河院)のために忠義のある者と聞いておられます。又、京都に駐屯しているときも、特に著しい忠義があったので、詳しく聞く必要はありません。きっと、家来達の勝手な乱暴狼藉なのであろう。このように申されておりますので、良く思っておられるのでしょう。五ケ庄の訴えも聞いておられます。福田庄、西下郷、大部郷も、訴えの手紙の通りに裁断され命じてください。
備前国(岡山県)宇甘郷(岡山市御津宇甘)の事について、詳しくお調べになられた事に感心されております。その内容で、命令をしました。役夫工米料(伊勢式年遷宮費用)は、国衙や荘園ごとに書き出したのは、担当機関の弁官に渡してください。
京都御所警備の事について、源頼兼が云ってる事は気の毒だ。他の人にも順番を決めて警固させた方が良いのでしょう。摂政九条兼実に言ってください。
一条院(六条院の間違い)の領地の事について、未だに報告がないので、追ってお知らせします。
これらの各条項について、この内容で、お知らせするように、後白河院の御意思です。恐れ入りますがよろしくお願いします。
五月十三日 権右中弁定長
最近のコメント